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患者を苦しめることにツナガル セカンド減薬 発達断薬療法 批判 其の弐 『おとぎ話』  第一話  モモタロウ伝説  第二話 クジラとサソリの物語 第三話 ハータスに居続ける人々

患者を苦しめることにツナガル

セカンド減薬

発達断薬療法

批判 其の弐

『おとぎ話』 

 

第一話 

モモタロウ伝説 

第二話

クジラとサソリの物語

第三話

ハータスに居続ける人々

 

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第一話 

モモタロウ伝説

鬼ヶ島奮闘記

キーサン革命極意奥伝第3章より

結末が少し変わりました、

果たして、

鬼達の運命や如何に




鬼が島に赤鬼や青鬼たちがノンビリと暮らしていました

ムカシは、里人に、里人の薬師たちにそれなりに恐れられていました

金棒をもって暴れまわるからです

でもその鬼たちも、もはや還暦を過ぎ

鬼であり続けることにも疲れ果て

里人のトコロに出没することもメッキリと少なくなりました

鬼が島の浜辺でノンビリたき火なんかして

ムカシの夢ナンゾ見ながら寝ておりました

 

たいへんだたいへんだモモタロウが来よったで

嘘言うたらアカン

ほんまかいやモモタロウが、来よるわけないやろ

わしらこのところナンモしてへんぞ

ほんまやほんまや、来たんや、しかも、そのモモタロウはな、見てビックリやで

 

ほんまや、でもなんで、あのオトコがモモタロウなんや

ワケワカランゾ

ともかくモモタロウのハナシ聞いてみよ

 

鬼が島の鬼の諸君

君たちは、実は鬼ではなかった

ここにいる猿や犬や雉なのだ

 

はぁーモモタロウはナニを言い出したんやワケワカランゾ

 

この黍団子が証拠である

この黍団子を喰らえば鬼は犬や猿や雉に

里人になることも夢ではない

しかも里人の若者たちが鬼化することも防げるのだ

里人の薬師の毒から里人を守れるのだ

実際見せてやる

といって雉や猿や犬にその黍団子を食べさせたのでした

すると、あーーら不思議

雉や猿や犬は、里人になっていったのでした

 

これはすごいな

モモタロウさんの言う事ももっともかもしれん

わしらもひとつその黍団子喰わせてくださいな

するとあーら不思議

鬼たちの中から、何人かは猿や雉や犬に

そして里人になっていったのでした

 

こいつはすごい

モモタロウさんその黍団子もっと分けてください

 

おーーいくらでも持って行け

 

しばらくすると

喰らった鬼の中から何人かのうめき声が聞こえ始めました

それは雉や猿や犬もおんなじで、何人かは、吐き戻し始めたのです

たまらなくなった鬼たちはモモタロウに言いました

 

すんまへん、モモタロウさん、苦しむ者がおりますが

どうしたらよろしいのでしようか

 

当たり前だ、里人の薬師の毒が回っておるのじゃ

しばらくがまんせい

薬師の毒を抜いておるのじゃ

ありがたく想いなさい

 

そうするとあーら不思議

我慢に我慢を重ねた者から

里人になったり雉になったり犬になったり猿になったり

 

これでわかったであろう

この愚かな鬼どもグチャグチャ言うでない

この黍団子は最終的に里人の薬師を皆殺しにできるのじゃ

おまえたち鬼もそうしたかったのであろうが

これからは黍団子の時代や

鬼に金棒の時代は終わった

鬼はいないのや

だから鬼に金棒やない

鬼に黍団子や

 

鬼に黍団子やないで、鬼には金棒やろ

とかブツブツ言いながら

どこかしら納得できない気色を隠しながら

金棒を地面に置いて

ある鬼はもうはや金棒を捨てて、モモタロウのように

里人の薬師にむかって黍団子を投げつけたのでした

 

するとあーーら不思議

里人の薬師はバッタバッタと倒れていきました

 

モモタロウも雉も犬も猿も鬼たちも大喜びです

里人からも歓声があがりました

 

でも何人かの鬼が目ざとく見つけたのでした

里人の薬師が倒れるふりをして

投げつけられた黍団子を拾い集め

その黍団子を里人の若者に喰わせているのを

 

モモタロウさんモモタロウさん

あれを見てくださいよ、あれはいいのですか

 

あれはアカン、黍団子の間違った使い方や

わしのやり方以外での黍団子の使い方はすべてまちがっておるのや

 

間違っているといっても聞きやしませんよ、あの薬師たちは

それよか黍団子で薬師が倒れるのはわかったので

黍団子で倒れる薬師には黍団子を投げつけて

あのずるがしこい何人かの薬師には

ムカシながらのこの金棒で殴ってやりましょう

 

アカン

ムカシナガラの金棒は捨てなアカン

それは、間違っておったのやから

金棒は、海に捨てなさい

今後金棒を使うものは、たとえ鬼であっても薬師とみなします

それよかこの黍団子を喰らいなさい

投げつけなさい

 

どうせいゆうねん

モモタロウおかしなってるんやないか

鬼に金棒やがな

その金棒使こうて薬師なぐったら

わしらも薬師と一緒や言うんかムチャクチャやがな

おいおいそれよかタイヘンなことになってるがな

 

そう鬼が島の浜辺はタイヘンなことになっていました

何人かの鬼が倒れこんで黍団子を吐き戻しているのです

雉や猿や犬ものたうちまわって吐き戻しています

 

モモタロウさんこりゃあかん

こんなに苦しんどるやないか

なんとかしたらなあかんで

 

なかには黍団子が身体に合わんでクルシムもんも出てくる

薬師の毒のせいや恨むなら薬師を恨め

薬師の毒のせいでくるしいんやから

でも吐き戻させたらアカン

吐き戻したら元の木阿弥や

ムリヤリでも飲み込ますんや

 

モモタロウさん、そんなことは、わかってま、わかってまっけど、

せやけどこれはなんとかせんと

 

だから介抱するのに母親を呼んであるのや

 

鬼や雉猿犬たちの母親達が、里人の若者たちの母親たちが

大船団に乗って鬼が島の沖に迫っていました

 

モモタロウさんこれは、鬼とモモタロウと雉と犬と猿と黍団子のハナシや

母親が登場するのはドウカと、

ハナシガゴチャゴチャになるのは、

めにみえとりゃあせんか

 

かまし

鬼ども黙っとれい

ドコヤラの母親とチゴウて、黍団子団の母親はイイのや

それに実際介抱せなアカンやろが

 

そうこうするうちに母親たちの大船団から声が聞こえてきました

雉太郎やーーい雉子やーーい

モモタロウさんのいう事をよく聞いて黍団子を吐き戻してはいけませんよ

鬼太郎やーーい鬼子やーーーい

モモタロウさんのいう事を聞かないと里人に戻れませんよーー

あなたには才能があるのですよーーー

我慢して黍団子を喰らうのですよーーー

 

母親たちは必死になって介抱を致しました

それはもう必死になって

介抱を致しました

鬼も雉も犬も猿も母親たちからムリヤリ黍団子を

喰わせられました

 

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鬼たちは真っ青です

母親の愛はやはりオソロシイのぉぉぉ

青鬼は恐ろしさの余り白鬼に

赤鬼は恐ろしさの余り青鬼になってしまいました

そして見たのです

鬼も雉も犬も猿も里人になっていくのを

 

どうやワシの言うとることは正しいやろが

だから鬼はいなかったんじゃ

鬼が島は無いのよ間違いよ

今後この島は里が島

あれらの島は雉が島猿が島犬が島

と呼ぶことにする

鬼はいない

今後鬼は存在するという奴はモモタロウが成敗してくれる

鬼はいない

いるのは猿か雉か犬なんや

わかったか鬼ども

今後ここは里が島と呼ぶことにする

鬼はわしが鑑別してそれぞれ犬は犬が島に

猿は猿が島に雉は雉が島に強制移住

鑑別できるのはこのモモタロウのみよ

他は里の薬師と一緒やさかいにできん

ワシだけや

鬼はいるという奴は薬師と同じよ

成敗するのみ

 

アヒー

モモタロウさん助けてください

強制移住だけはやめてください

ここ鬼が島で、静かに暮らして死んでいきますから

強制移住だけはかんべんしてくださいよ

鬼たちは泣いていました

黍団子が正しいことは、もうようにわかりましたから

里人の若者を守れることもわかりましたから

雉や犬や猿しかいないこともわかりましたから

我々も黍団子を喰らいますので

どうかお願いです

ここ鬼が島にこのまま鬼として暮らさせてください

 

ならん

鬼はいないのじゃ

黍団子が正しいのはわかりきったこと

ワシが証明したんじゃから

鬼が島は無いのんじゃあ

間違いじゃあ

間違いは正さなければならん

それが里人の薬師を皆殺しにし

里人の若者を守ることに

このモモタロウの罪滅ぼしになるのんじゃあーー

まだワカランカこのアホども

ワシが黍団子の正しさをこれだけ証明してやっても

ワカランと言うのじゃな

この鬼が島から出ていけ

ここは里が島じゃあ

もはや問答無用モモタロウは突き進むのみ

 

鬼が島の浜は阿鼻叫喚に包まれました

わしは鬼じゃああーー雉やないのや鬼なんやと叫びながら

雉の羽がある鬼たちは雉が島に引きずって連れていかれました

鬼か犬かはワシに選ばしてくれれーーと犬のしりっぼがある鬼は

叫んでいる口を塞がれて犬が島に引き立てられていきました

わしを鬼や言うたんは里の薬師やモモタロウもそう言うとったやないかーー

と猿の尻がある鬼は砂浜にこっそりと書き残して

猿が島に追い立てられていきました

その書き残したものは波と風によって跡形もなく消されていきました

 

母親たちは喝采を叫びました

そう鬼達は、いてはいけないのです

母親たちの娘や息子は里人になるのです

でも首尾よく里人に為った息子を持つ母親と

為れずに猿が島に行くことになった娘をもつ母親と

いつまでたっても介抱し続けなければならない母親とで

喧嘩が始まりました

船の上で掴み合いの喧嘩です

アンタよりワタシのほうがモモタロウさんとハナシができるのよ

という声も風に乗ってかすかに聞こえてきます

 

喧嘩しながら母親たちの大船団は対岸の里人の浜に到着したところです

 

鬼が島にはすっかり平和が訪れ

もういまは里が島

この島がかつては鬼が島と呼ばれていたことを知る人も

少なくなっていくでしょう

 

里人の薬師たちは

枕を高くして眠れそうです

鬼たちはすっかりいなくなって

夜な夜な

鬼たちの金棒に殴られる悪夢を見なくて済むようになったからです

鬼が島から出て里にやって来ることはもうありません

だって雉や猿や犬になったのですから

雉や猿や犬が来たところでどうにでもなるわい

黍団子はあとで、どのようにでも使えるわいと、笑いが止まりません

 

モモタロウは黍団子城を里が島につくるつもりでしたが

その築城工事中に

足場から滑って転落し行方知れずとなりました

作事奉行雉が島代官によって足場に油が塗られていたと

もっぱらの噂になりましたが真実はわかりません

 

ただおかしなことがひとつ

そう猿が島の代官が

実は猿は鬼だったのだ

実は猿が島が鬼が島なのだ

と言い始めたことなのでした

そんなことはありません、だって、住んでいる猿たちが

自分達が猿でそこが猿が島だということは

知っているのですから

おかしなこともあるものです

 

いまはただ

里が島に静かな風が吹いているだけです

ここがムカシ鬼が島と言われていたことは

早くも忘却されそうです

せめてあの砂浜に書かれたことが残っていれば良かったのですが

 

いつものおとぎ話モモタロウの鬼退治はこれで終わりです

が、実は、

こんな後日談も

もうひとつの結末です

 

シマヌケダァァァァァ

カンカンカンカンカンカンカンカン

半鐘が打ち鳴らされています

 

島抜けじゃぁぁぁぁぁぁぁーーーー

島抜けしょょょったぁぁぁーー

猿が島から鬼達が抜けヨッターーー

島抜けじゃゃゃああぁぁぁ島抜けじゃぁぁぁ

鬼が逃げるぞーーー

鬼が逃げてしまうぞーーー

追いかけろーーー追いかけろーー

舟かぁぁぁぁーー

舟で島抜けしよったんかぁぁぁ

いやぁぁ飛び込みよった、海に飛び込みよったぞーーー

ほっとけーーーー

どうせ酷い海流が流れておるんじゃぁぁぁぁーー

抜けようとも抜けられん

溺れ死ぬのがオチよぉぉぉぉー

 

またじゃゃゃあああ

今度は雉が島から鬼ども抜けヨッターーー

カンカンカンカンカンカンカンカン

半鐘が激しく打ち鳴らされます

遠くを見ると

犬が島からも鬼達が逃げ出しています

 

溺れ死ぬのもかまわず鬼達は

ザバーーンザバーーンザバーーーン

海に向かって飛び込んでいきます

次から次へと

鬼達が島抜けしているのです

溺れ死ぬに決まっています

もの凄い急流なんですから

それでもかまわず、ザバーーンザバーーーーンと

 

いつしか、その飛び込む音も無くなりました

海の上に鬼達の顔はありません

沈んでいったのでしょうか

海の上には鬼達はおりません

鬼達は、溺れるのもかまわず

荒海に飛び込んでいったのでしょうか

沈んでいったのでしょうか

あっ、鬼がいます

鬼が泳いでいます

力強く泳いでいるではありませんか

でも、陸の方に向かっているのではありません

なんにもない荒海に向かって泳いでいるのです

どこに行くあてもなく、泳いでいるのです

 

島にいたら、鬼たちは生きてはいられたのです

でも、鬼たちは島抜けを選んだのです

しかも、陸の方ではなく、海の方にむけて

島抜けをしたのです

溺れ死ぬに決まっています

海流は激しく、しかも、行くあてもなく

海に飛び込んで行ったのですから

 

それにしても、鬼達はなんでこんな事を

したのでしょう

 

海流に流されてしまったのか

水平線に消えていったのか

それとも、力尽きて海の底に沈んで行ったのでしょうか

それとも、どこかにたどり着いたのでしょうか

とにもかくにも

海の上に、鬼達は見えなくなりました

島にも、里の陸の方にもおりません

鬼たちはどこへ行ったのでしょう

島抜けをしてどこに行こうとしたのでしょう

鬼が島はとっくに里が島になっていたのです

陸の里人のムラには、行けません

行くあてなどなくても海に飛び込むしかなかったのでしょう

これだけは言えます

鬼たちは茜色の海に消えていったのです

消えて行ってしまいました

 

ただ、いつまでもいつまでも

代官所の半鐘だけが打ち鳴らされておりました

いつ果てるのかもわからず、半鐘だけが打ち鳴らされておりました

カンカンカンカンカンカンカンカン

カンカンカンカンカンカンカン

この半鐘は鳴りやむことは無いのでしょう

おそらくは永遠に

カンカンカンカンカンカンカンカン

カンカンカンカン
カーンカンカンカーンカンカンカンカン
カンカンカンカンカンカンカンカンカンカン

カーーーーーーーン



第二話

 クジラとサソリの物語

 

おーーーいおーーーーいいいい

サソリさんたーーーちよーーー

あの海の向こうの緑のいっぱいあるところに

行ってみたくは、ないかねーー

ソコは砂漠じゃろろろー

住みにくくはないカイ

 

くじらさああーんぐじらさぁぁぁぁーーん

そりゃああー海を渡って、あっちにに行ってはみたい、モんですよょょょーー

行けるもんならねええ

でも、ぼくたちは、泳げないんですよ

ぼくたち、サソリなんですからーー

 

たしかに、砂漠は、もうこりごりなんですよ。

海の向こうの緑が一杯あるところに行ってみたいなぁぁぁーー

そやそや、砂漠はこりごりや、暮らしにくうてかなわん

熱いわ熱うてかなわんわ

暑いのんや、暑いのは、もうこりごりや

緑の一杯あるところでノンビリしたいもんや

涼しいのとちがうか

食べもんも、ようけあるのとちがうか

行きたいのぅ生きたいのぅ

あっちに移住してみたいもんや

ソヤソヤソヤソヤソヤソヤそやなぁぁぁーー

くじらさぁぁぁーーん、みんなで、そりゃあー、

新天地を求めて出て行きたいんですけどーー

サソリなもんで泳げないんですよ

 

そんなことは、なんでもないがな

それやったらーーワシが連れてったる

背中に乗ったらエエがな

モンダイは一発解決ヤガナ

ええぞ、ワシの背中にいくらでも、乗ったれや

対岸に連れてっちゃろう

だけんど、

連れて行ったるサカイに

そのかわり、ワシに近づいてくるほかのシャチやサメたちを

その毒針で脅して

近づけんようにしたってくれや

それと、シャチを脅すのに振り上げた毒針は

絶対にワシには、刺さんとってや

ワシを刺したら

サソリさん達も死ぬんぞーー

泳げんのやから

 

あああ、エエですよ

お安い御用だ

僕たちは、毒のある刺す生き物ですからね

シャチを脅かしてやりましよう

約束しますよ

クジラさんを刺しはしませんよ

だって、ぼくたちも溺れて死んじゃうんですから

 

こうして、背中に一杯にサソリたちを載せたクジラは、

泳ぎだしたのです

対岸に向かって

未来に向かって

砂漠から、緑の一杯ある住み心地のよい新天地を

目指したのでした。

 

おっとそこへ、シャチがやってきました

なかなか、獰猛なヤツラです

群れをなして襲い掛かってきます

あっと、

クジラの背中に乗っているサソリに気付きました

サソリ達が、一斉に毒針を振り上げています

おおおぉぉぉーーっと

逃げていきます

逃げていきますシャチどもが逃げていきました

 

ありがとうよサソリさん達

わしはサソリの威を借るクジラよぉう

これで、楽に泳げるワイ

 

何でもありませんよ、クジラさん

こんなことなら、いくらでも、毒針を振り回してやりましょう

アイツら本当に刺してやろうかな

そうやそうやと

刺したれ刺シタルんや

ワシらは、毒のあるサソリなんじゃから

サソリ達も意気軒昂です

 

サメもきましたが、すごすごと帰っていきます

どこか恨めしそうです

サソリの毒針は恐ろしいのでしょう

あっと、サメ同士で共食いを始めました

共食いです

サメ同士の争いは醜いモノデス

共食いを始めました

何という事なんでしょう

そこへ先ほどのシャチたちも、群がってきました



おぉっと、空です、空を見てください。

今度はアホウドリの群れです

阿呆鳥が群れをなして、飛んできました

サソリさぁぁぁん、クジラの背中に乗ってたって、対岸に着きませんよ

それより、空飛んで行きませんか

早いですよ、空飛んだら早いですよ、あっという間ですよ

すぐ着きますよ、緑が待ってますよ、暮らし良いですよ

そんな、わしらサソリは、空は飛べんわい

地に足をつけて生きとるんや

ほやけど、よう考えたら、

いまクジラさんの背中のうえで、海におるがな

地面から足離れたるがな

だったらアホウドリに空をとんで連れてってもらうのも

エエのと違うか

なに言うてるんや、クジラさんの背中やったら、みんなで

緑の対岸に行けるけど

アホウドリに頼んだら、一匹づつしかいけへんのやど

しかも途中で落とされたらどないするんや

ほやけどな、ワイは待ちくたびれたんや

いつまでたっても、向こう岸に着かんやないか

サメやシャチには嫌がらせされるし

ワイはアホウドリに掴まって先に行くわ

こんなハナシを聴きながらアホウドリアホウドリらしく

アホ面をさげて

サソリさんサソリさん、空ならすぐ着きますよ

と言いつつ、さっそく何匹かのサソリを捕まえて

空に飛びあがっていきます

飛び上がってしまえば、もうアホウドリのもの

対岸の緑多き所ではなく

なんだかゴツゴツした岩場の方に連れていかれるようです

つい、早く早くと望んだサソリが悪かったのでしょうか

ただ、残されたサソリたちは

だから言わんこっちゃない、と言っています

やっぱ、クジラの背中が、良いワイ

阿呆鳥のあほ面は、信用でケンのんジャ

とわいわい、言っているうちに

突然のことでした





うわっっっっあぁぁぁぁっっ

あっどうして

どうして、どうして

サソリさん達よなんでワシを刺したんぞ

ワシを刺せば泳げないんだからサソリさん達も海に沈んで

溺れ死んでしまうに決まっている

 

クジラさーーんぼくたちは、サソリなんですよーー

どんなに、おとなしくしようったって

どんなに、お互いに利用しようとしたって

ぼくたちは、刺す生き物なんですよ

ぼくたちは、刺す、毒のある生き物なんですよーー

それは変えられないんですよ

 

こうして刺されたクジラも

刺したサソリたちも、結局は

海の底に沈んで行ったのです。

 

でも、首尾よく対岸に着いたとしても

サソリたちは死んでいたことでしょう

だってサソリは砂漠の生き物なんですから・・・

緑の一杯あるところに、住めるわけはナインですよね

はじめっからね

そんなことは、クジラも知っていたハズ

だって、クジラは魚じゃないんですよね

息をする生き物なんですよね

だからって、陸には住めないんですよね

海にしか住めないんですよね

だからクジラは知っていたハズ

サソリは、緑の多いトコロには住めない、てね

だったら、刺したサソリ達が裏切ったんでしょうかね

まぁ、刺しちゃったサソリ達がワルイんでしょうがね

それとも・・・・・・・

さて、読者の皆さんは

どう想われます

サソリとクジラの物語は、これでおしまい、おしまい




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第三話

 ハータスに居続ける人々

 

ハータスはうつくしいムラである。

東北にオーラスの山々を戴き、西南にグン川が、流れる、

うつくしいムラなのであった。

山と川とに囲まれて、豊かな、飢餓のない、戦争もない、

諍いのない、犯罪者もいない、貧しいけれども、

ムラ人達がお互いに助け合って暮らしている美しいムラなのである。

ここには、驚いたことに、乞食も居ないし、

昼間から酒を飲んでいる者もいない。博打場もなく、そして売春婦もいない。

もっとも驚いたことに、病気で苦しんでいる者も、

障害で苦しんでいる者もいない、そんな、うつくしいムラなのであった。

小麦は豊かに実り、川からは、毎年たくさんの魚があがった。

牛たちは、静かに草をはみながら、芳醇な乳を

そしてバターを生み出すのであった。

畑では、必ず確かな実りが、約束されていた

作物や牛たちに、疫病などが流行ることはない。

ムラ人たちは、そう確信しているようであった。

そう、ムラ人たちも、風邪ひとつ引いていないようだった。

 

ハータスのムラには、古い、太古から建っているかのような

建物が、三つあった。

カマゾフの谷には神殿が、そう、古びた神殿が建っている

トスカイの丘には僧院が、ゴキリの湖には学院が、ある

ただ、ムラ人たちは、その神殿や僧院や学院には、

決して近づこうとはしないのであった

 

そんなムラに、時々、旅人が立ち寄ることがあるのである。

 

どこから来なすった、お若いの、旅人かね

はい、海の見える町から参りました旅人でございます

それにしても、ここはうつくしいムラですね

そうじゃろう、ここは、美しい豊かなムラなんじゃあ

好きなだけいなっせい、ここのムラ人になることだって、できるんじゃての

旅人の若者は大歓迎じゃよ、まれびとだで、大騒ぎすることだろうて

そうですか、それでは、できたら、

今宵は、このムラにて一夜過ごさせてはもらえないでしょうか

あーーいくらでも、泊まっていきなっせい、わしのうちにきなっせい

そうですか、ありがたいことです

こりゃあ、久しぶりの旅人じゃし、ムラを挙げて大歓迎会じゃな、

立派な若者だで、娘たちが、踊り明かす夜になるじゃあろうて

だけんどもな、絶対に守ってもらわにゃならん、ムラの掟があるんじゃ

なーーに、むずかしいことじゃないんじゃよ、お若いの

そう、怯えんでええんじゃ

なに、たいしたことじゃない、あの丘に建っている神殿が見えるじゃろ

それと、あっちの谷には僧院が、こっちの方の湖には学院が

神殿は神聖な場所じゃし、僧院も学院も、静かに勉学に励んだり、

祈ったりするところなもんで、みだりに近づいてもろうては、困るんじゃ

どうじゃね、お若いの、守れるかね

あーー少し、ほっとしました、どんな掟か、心配だったものですから

あの神殿と僧院と学院には、近づかなければいいんですよね

そうなんじゃ、それさえ守っといてもろうたら、あとは、

好きなように、過ごしなっせ、さてと、一緒にわしのうちに行くかの

おうおう、はようらと、気づいたか、子供たちが、

こっちに走ってきよるわい

おいおい、ばあさんたちも、気が早い、早速料理をはじめよった

子供たちは、お若いの、あんたのハナシをききたがるじゃろうし、

おとこたちは、一緒に畑に行きたがるじゃろ、自分の畑を見せたいんじゃよ。

おっかさんたちは、お若いの、あんたをまぁ、五キロは太らせないと、

このムラから、出ていかせっこないだろうよ

もっとも、その前に、ワシらじいさんたちの、昔話をたっぷりと

聞かせることになるんじゃが、まぁ、楽しいムラなんじゃよ、ここは。

 

こうして旅人は、走ってきたムラの子供たちや娘たちに大歓迎されながら、

ハータスのムラへと、入っていったのでした。

 

その夜のことは、あまり、おぼえてはいない。

とにかく、大宴会になってしまい、踊りなっせ、とにもかくにも踊りなっせ、

踊りなっせ、食べなっせ、飲みなっせ

飲みまっし食べまっしと、実に賑やかに過ごした

明日の夜は、ウチに泊まりなっせと、いや、こちらのウチに来なっせと、

それじゃあウチは明後日の晩だ、と

はや、大騒ぎだったのである。

すべてのウチの招待を受けなければ、ならないようだった

最後は、ソコカラ逃げるように、二階に上がり、

気を失うように、用意されたベッドに潜り込んでしまった。

 

ハータスのムラの朝は早い

前の晩大宴会だったとしても、昼まで寝ているといったことはない

ムラ人たちは、日の出とともに、畑に出、

そして、牛の乳を搾るのである

子ども達も野良仕事の手伝いに出る

ハータスのムラに労働を厭うモノなどいない

小鳥のさえずりと共に、労働の喜びの声が、響き渡るのである。

その楽しげな声に、旅人は眼を覚ました

アタマがクラクラする、これはどうも、飲み過ぎた

と、思うまもなく、ドアが叩かれた

お若いの、しっかりしなっせ

もう日も高いし、ムラの衆は一仕事終えた時分だで

着替えて早いとこ下に降りてきなっせ

娘たちは、機織りを見てもらいたくって、うずうずしてるし

若者たちは、自慢の牛を見せたくって、さっきから待ってるし

おとこたちは手塩にかけた自慢の畑を見てもらいたいんじゃろし

ワシだって、さっきから、待っておったのじゃよ

ばあさんたちもおっかさんたちも、今宵も、うまいものを

たっぷりと、出す算段をしているようじゃて

子どもたちは学校で絵を教えてもらいたがってたぞ

お若いの、昨晩、子供たちの前で絵を描いたじゃろ

しばらくこのムラから出られやせんぞ

みんなの歓待を一通り受けてもらわにゃ、な

子どもたちも若者たちも

あんたを離さんじゃろうて

さあさあ、早いとこ飯を食って、まずは

娘たちと一緒に機織り工房に行ってきなっせ

 

こんな調子で、あっというまに、時がたち、そして

このハータスのムラに自然に居ついてしまったのである

最初に出会ったあのご老人の納屋を改造してもらって

小さいながらも心地よい住処となった

いつしか、牛も畑も分けてもらい

しかも学校では、美術の教師ということになってしまった

機織り工房の娘たちのなかには、

私を本当に好いてくれる娘もいるようで、

時々扉の前に手の込んだ織り模様のタンバートなどが置いてあるのだった

畑仕事も牛追いも初めてのことながら

おとこたちが、手取り足取り、野良作業を教えてくれた

堆肥の作り方の秘伝のコツを

おとこたちは、惜しげもなく、教えてくれるのだった

一頭牛が迷子になった時も、おとこたちが総出で

一晩中探してくれた

おっかさんたちは、いつもなにかと、世話をやいてくれていた

そして

作物も牛も病気にならず、

実りも乳もたっぷり取れるのであった

若者たちの野遊び組や

ムラの催しごとも十旬に一つはあり、そのたびごとに

踊りあかし、歌いあかしたのである

どういうわけか、持病の喘息も全くでなくなり

すこぶる体調が良いのである

私は、もうこのハータスのムラに落ち着こうと思ったのである

あの戦乱と飢餓の待つ町には帰りたくはなかったのである

ただ、気にかかるのは、あの行ってはならぬと言われた

谷の神殿と丘の僧院と湖の学院である

ここのムラ人たちも、この話題は避けているようであった

一度、あれは夏祭りのとき、だったか、言いかけたのだが

そのまま祭りの喧騒の中に溶かされてしまった

私もあまり深くは追及しないようにしていた

なぜなら、この幸せなハータスの暮らしを

覆されてしまいそうな何かがあるような気がしたからである

しかし

私は今夜、谷の神殿を見に行くつもりである

なにも柵があるわけでもなし、行く気になれば行って

そこになにがあるか分かるのである、、、

だから



おぉおぉーーーなんということだ

あぁぁーー

それは、生き物なのか

生き物なのか

動物なのか

いや、それは、動物ではない

あぁ、あぁ、これは人間だ、人間ではないか

まるで、獣のように自分の汚物にまみれて

言葉ではない、なにか、そう獣のようなうめき声をあげて

地べたの上を這いずり回っている

まるで、獣が入れられているかのような檻の中に

それは、いたのだった

よく見るとそれは、女であった

両足を折られるという、しるしを付けられた

そう、それは若い女であった

 

私は走り出て丘の僧院に向かった

そこには

もう想像の通りだった

そこには神殿でみたような生き物がいた

人間とは思えない

だけど

これも人間でしかない

それは男か女かわからないが

それは、年老いた老人であった

両目を潰されるという、しるしを付けられた

それは老人であった

 

私は湖の学院に向かったが

もはや、何が待ち受けているのか、

明白だった

学院にいたのは

両腕を折られるという、しるしを付けられた

それは子供であった



私は、悟った

私はそれでも、確かめるために、

あの老人のもとに、行った

老人は私を待っていた



お若いの

あれらを見なすったかね

やっぱり、見なすったかね

あれらが、神殿と僧院と学院におるだで

このハータスのムラは

豊かなのさね

美しいのさね

みんなの笑い声が

絶えないのさね

飢えることもないのさね

たった三人じゃ

たった三人

神殿と僧院と学院にそれぞれ一人ずつ

たった三人

それで、このハータスには

病気も障害も争いも犯罪も戦争も

飢えも

ないんじゃよ

実りも約束されておるんじゃ

たった三人じゃ

お若いの、ひどいことだと思われるンじゃろうが

たった三人なんじゃよ

それで、このハータスは、、、、、

 

気が咎めるのじゃったら

いっとき、、神官や僧侶や学士になって

祈りや学問の傍ら

あれらを世話することもできるんじゃて

そういう道もあるのじゃよ

 

なにも無理強いはせん

いつでも出ていける

お若いの、あんたしだいじゃて

どうするかね

あんたが決めなすったらエエのんじゃて

誰も、無理強いは、せんのじゃて



私は、あまり考えることなく、ほとんど即座にこういった

まずは学士になりましょう、と。

私は

出ていくつもりなど、なかったのである

生涯の居場所をついに見つけたのだから

このハータスに、あの時から、ずっと、居続けている

学士と僧侶をしばらくやったのち

ここで、結婚し、農場も拡げ、うちも建て、子育てをなしとげた

そんなことができるとは思わなかった

病気ひとつすることなく、

私も、あの老人の歳に近くなった

今は、ここハータスのムラの入り口に、時々、ぼんやりと立ちながら

旅人の若者を待っているのである

良い生涯であった

ここハータスのムラは美しく豊かである

明日も、明後日も、来年も再来年も、永遠に、

ここハータスは美しく豊かであろう





2014/2/22起稿、第二話第三話は、批判全六巻の最後に、おかれる

 

前進友の会 えばっち 江端一起

 

えばっちのホームページ 乾坤一擲

http://ebacchihomepage.dousetsu.com/index.html