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そして患者会で、みんなでいる事こそが、俺の中の彼が暴れださないようにしていてくれるのです。ムズカシイことではないのです。この会話ソノものなんですよ。患者会こそが、オレの中の鬼を誤魔化させてくれる、だか

別の日のみんなの部屋の出来事である。一番広いみんなの部屋のテーブルの周りに、みんなで座って、ワイワイと話していた時である。ひょんなことから、自分たちの初期のころの家庭内での暴力の話になった。それも、赤裸々にみんなで語り合える、そういう時であり、雰囲気であった。
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「ここで家族に対して、シビアーな暴力を振るってシモウタモン、いっぺん手挙げてみいひんか」と言ったのである。ほとんど全員がバラバラバラ、と手が挙がったのである。そして、口々に喋りはじめたのである。「親父をグーで殴りましたからね」「グーで殴り合いですよ」「包丁が出ましたからね」「なんで入院させたんやー、と叫びながら茶碗を片っ端から投げつけて、机をひっくり返しましたからね」「僕の方が包丁を出したんですよ」「赤いむすぶに書いた通りですよ」「何を言っているんだ、俺なんか、もうちょっとで妹を殺すところだったんだぞ」「あの映画でも、バクチク本でも、キーサン革命宣言でも、書いた通りや」「悲惨やった、ふすまが血だらけになってた」「ふすまが血だらけと言えば、そさんが酒を飲んで暴れた時は、ふすまがほちゃんの血で真っ赤になってて、玄関のドアが外れていて、俺踏み込むとき、こりゃ、ほちゃん死んでるかもしれんなあと、想いながら、恐る恐る踏み込んでいったんだよ」「お母んにエルボーを食らわしてしまいました」「以来、お袋から強制入院させられるのが怖くて、逃げ回ってるんです」「包丁はよく出るよな」「れさんの枕の下の包丁はヤバかった」「家族だけじゃなくて、ココでも、包丁事件あったよなあ」「あったあった」「あれは、被害者はくちゃんじゃなかったか」「確か、とさんが包丁持ってくちゃんを追いかけまわしたよな」「まあ無事で済んでよかった」「そういや、くちゃん、ま君から、ずっと蹴り続けられるというのもあったよな」「そうそう、あの時はうちゃんがプロレス技で止めたんだったよな」「そういや、い君の奴、そういう一番やばい肝心な時に、いないんだよな」「便所で、紙がねえっつって、やっと出てきたら、全ては終わってたんだよな」「い君、良いガタイしているのに、肝心な時に役に立たねえ、で、その時、何で尻を拭いて出てきたんだ?」「これは一生言われるんですかねー?」「仕方がないから、もらった賃金袋の紙をちぎって拭いてきたんですよ」「尻が痛かったんです」「お前なー。ここさっきまで大変な修羅場だったんだぞ。みんな真っ青になってるだろ」「だって、便所に紙が無かったんですよ、コレきっと一生言われるなー」「そうそう、夏レクで主治医をモウチョットで殴り倒すとこマデいくのもアったって聞きましたよ」
 
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だから、お利口な「僕たちは、暴力なんて振るったことありません」「心優しき心豊かな優しい、暴力とは無縁の感受性豊かな精神病者です」などと、宣伝にこれ務めている全精連や、全家連や、コンボネットなどの、通信物などを読むと、嘘をつけと、お前たちは本当のことを言っていない、良いようにしか言っていない、それではダメだ、ちゃんと自分の暴力性に向き合えと、それがキチガイの生きる道だと、想ってしまうのである。さらにまた、このお利口さん路線を、持ち上げている、良心的医療従事者たちに、こう言いたいのである。お前たちも、ちゃんと、向き合え。さもないと、真の意味で病者は延々と「お前たちに媚びを売ることになる」、それが分からないのか。おのが暴力性に正面から向き合えた病者だけが、かえって、己が暴力性の恐ろしさを自覚し得るからこそ、医療従事者たちと、媚びを売るのではなく、堂々と正面から向き合えるのである。なぜなら、医療従事者たちが、暴力そのものであるからである。だから、己が暴力性と正面から向き合えなかった病者たちは、暴力そのものを体現している医療従事者たちに、ついつい、無意識的に、媚びを売り続けることになるのである。それが、「心優しき精神病患者」なのである。それが、わからないのかな。
 
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だから、オレの中に彼はいる。オレの中にファシズムに乗ぜられるタネはアルんですよ、それがオソロシいコトなんデスヨ。
 そして患者会で、みんなでいる事こそが、俺の中の彼が暴れださないようにしていてくれるのです。ムズカシイことではないのです。この会話ソノものなんですよ。患者会こそが、オレの中の鬼を誤魔化させてくれる、だから生きておれると云うのは、コウ云うコトなんですよ。有り難いことなんですヨ。ソウ云うコトなのです。ナニもリクツぽぃムズカシいコトじゃあナインですよ。



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